子宮内膜症

子宮内膜症とは

宮内膜症とは、子宮内膜やそれに類似した組織が、何らかの要因によって本来の子宮内ではなく、他の部位で発生し成長する状態を指します。
その中でも、月経のたびに卵巣内で出血を繰り返し、古い血液がたまって卵巣が腫れた症状を、チョコレート嚢胞とよんでいます。

【イラスト】子宮内膜症の図解イラスト

子宮内膜症が疑われる症状

  • 月経困難症
  • 慢性骨盤痛
  • 排便痛
  • 性交痛などの症状
  • 妊娠しにくい(卵管の癒着、卵巣機能低下)

診断について

内診で子宮内膜症の特徴(子宮可動性の制限、ダグラス窩(子宮と直腸の間)の硬結など)が無いかどうかを確認します。

超音波検査で卵巣子宮内膜症性嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)の有無を観察します。

治療について

大きく分けて薬による治療と手術による治療があります。
症状の種類や重症度に加えて、年齢、妊娠の希望などを総合的に判断して適切な治療法を選択していきます。

薬物療法

長期に安全に使用可能な薬剤として、ピル「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬」もしくは「プロゲスチン」を第一選択薬として使用します。

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬

リスクも少なく低コストで使用しやすい薬です。
特に月経困難症については高い有効性が示されています。

現在の日本(2024時点)で月経困難症に対して保険適用が認められている薬

  1. ノルエチステロン・エチニルエストラジオール錠(ルナベル配合錠LDおよびルナベル配合錠ULD)
  2. ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(ヤーズ配合錠)

どちらも後発医薬品がありますので、より低コストで服用を続けることができます。

プロゲスチン

低容量エストロゲンとプロゲスチンを組み合わせた薬剤で症状の管理が難しい場合や、40代以上で血栓症のリスクが懸念される際には、プロゲステロンの特異性が高く(内膜症に対する抑制効果が優れており)、副作用が少ないジエノゲストを選ぶことが推奨されます。この薬は単独で長期間使用することが可能です。

手術療法

卵巣の内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)などの病巣部がはっきりしている場合は、手術を考慮します。

妊娠を望んでいる場合

病巣部のみを切除して、子宮や卵巣の正常部分を残す手術を選択します。

妊娠を望まない場合

病巣のみの摘出に加えて、子宮、卵巣および卵管などを摘出することもあります。